概要: Part1:アレックスの苛立ち「もう子供じゃないんだ! 放っておいて!」 そう言って僕は、雪の舞い散るニューヨークの街角を駈け出した。「アレックス! 走るんじゃない。滑るぞ」「子供扱いするな!」 地下鉄に乗ろうと角を曲がったところで、言われたとおり凍った路面に滑って転んだ。「……痛っ」 倒れ込んだ拍子に、肘を強く打ってしまったようだ。 悔しさで涙が出そうになるのをぐっとこらえる。 このニューヨークで2...
概要: 朝目覚めてると、王はすでに衣服を身に纏い、窓際に立っていた。 その顔は酷く深刻に見える。 アレックスはベッドから起き上がると、王に向かい合うように、その端に座った。「起きたか……」「……ええ」 アレックスは王から手を握られた。 真っ直ぐなその視線に耐えきれなくなり、顔を背ける。「一度しか言わん。良く考えて、答えてくれ」「……」「アレックス、帰るな。欲しい物は何でも与えよう。ここへ残るのだ」「だめよ。ア...