【はちみつ文庫】 南の島の海の青 6 【R-18】
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□ 南の島の海の青  □

南の島の海の青 6 【R-18】

 旅行4日目:

 翌日は朝の便で帰るので、実質的に今日が最終日のようなものだった。

 アレックスの希望で、終日ホテルでのんびりと過ごすことにした二人は、本館のレストランのビュッフェで朝食を食べていた。
 大量に盛られたルシガの皿を見て、アレックスは呆れたが、昨夜はサンドウィッチしか食べずに運動したのだがら仕方ない。

 高級リゾートホテルなので、ビュッフェといえど食事は最高だった。
 本国での立食パーティー並みのメニューに、二人は朝から舌鼓を打った。

 食事が終わると部屋に戻り、シュノーケリングをする為に水着に着替える。
 互いの水着を見て、二人は声をあげた。

「何だ、その水着は?」
「いやん、ルシガ。何、ソレ?」

 アレックスはライトゴールドの、スーパービキニを履いていた。
 肌色に近い色が、まるで何もつけてないように見える。
 股間もくっきり見え、美尻がはみ出しそうだった。
 
 対するルシガは、黒一色の膝上まであるダボパンだ。

「ああ……水着も買っとくんだったわ」

 そう嘆きながら、アレックスは水着の上に長袖のTシャツを着ている。

「何んでTシャツを着るんだ?」
「あら、ルシガ。Tシャツも持って来てないの?」
「ああ」
「こんな南国で、昼間に何も着ずに海に出たら、水膨れができちゃうわよ」
「そうなのか?」
「日焼け止めも、用意してないんでしょう?」
「ああ」
「日焼け止めは一緒に使えばいいけど、Tシャツはアタシのだと小さいわね。本館のモールで買いましょう」

 アレックスは水着の上に、短パン穿きながらそう言った。 




 モールでTシャツを買うと、二人は本館のビーチに出て シュノーケリングの予約をした。
 カーニバル中と言うこともあり すぐに予約が取れたが、次の船まで三十分あった。

 待ち時間に日焼け止めを塗る為、ビーチパラソルの下でアレックスが短パンを脱ぐと、その姿に視線が集まった。
 ゲイっぽい男も、トップレスの女達も、舐めるような眼差しでアレックスの躰を見つめている。

 ぴったりしたTシャツ越しに、アレックスのしなやかで程よい筋肉が感じられる上半身に、あの下半身だから当然と言えば当然だった。

 その光景を見て『裸の方がましかもしれん』と、ルシガは思った。

 それでもアレックスは気にも留めない様子で、日焼け止めを躰に塗り込んでいく。
 長い脚を撫ぜるように塗り込む姿は、妙に色っぽく、ルシガは直視できなかった。

 自分のを済ませると「塗ってあげる」と、アレックスが言ったが

「い……いい、自分でする」とルシガは断り、自分で日焼け止めを、ペタペタと塗った。

「ああ……だめよ、そんな雑に塗ったら。貸して、やるから」

 アレックスは日焼け止めを奪うと、繊細な指先で丹念にルシガの肌に塗り込んでいった。
 その手つきはマッサージのように心地よく、また煩悩を刺激するほどいやらしい。
 先ほどまでアレックスを見つめた女達は、呆れた顔でよそを向き、男は嫉妬と羨望の混ざった眼差しでルシガを見た。
 塗り終わって暫くすると、呼び出しがかかった。

 シュノーケリング初心者のルシガは、浜辺で講習を受けなければならなかった。
 ルシガの祖国は森林大国で、湖かプールしかなかったので、海で泳いだ経験すらなかった。
 そもそも魔導師に、海水浴は不似合い過ぎる。

 初めて海水が鼻に入った時には、その不味さに驚いたが、運動神経は良いので 十五分もすれば上手く潜れるようになっていた。
 講習が終わる頃には順番がやって来て、二人はボートに乗りサンゴ礁へと向かった。

 シュノーケリングより、スキューバーの方が人気があるので、船は貸し切り状態だ。
 心配していた船酔いも、波が穏やかだったので大丈夫だった。

 サンゴ礁にたどり着くと二人は海に潜り、南国特有の極彩色の魚を見て楽しんだ。
 人に慣れているのか、手を出しても逃げることがなく、魚達は美しい姿を真直で見せてくれた。
 アレックスが餌を持って潜ると、それを目掛けてたくさんの魚が集まった。 
 その姿はゴーグルさえ付けてなければ、まるで海の女神のようだった。

 ボートから少し距離はあるが、泳いで行ける場所に、砂浜でできた小島がある。
 2人はそこまで泳ぐと、砂浜に上がり休息を取った。
 自然と唇と唇が重なる。

 モーリス島の海は、太陽の光を反射し、キラキラと輝いていた。
 揺れる海面は、アレックスの瞳と同じ透けるような美しいブルーだ。 
 肩を寄せてそれを見ているだけで、十分だった。
 それ以外は何も要らないと思わせる、そんな美しい青だった。
 



 シュノーケリングが終わると二人はコテージに戻り、プライベートプールの横に置かれたテーブルで、ルームサービスのランチを食べた。

 プールサイドにあるデッキチェアーはカップル用で、大人が並んで寝れる大きさだ。
 食後はそこで海を見ながら、ぼんやりと過ごした。
 アレックスはルシガの胸に頬を寄せ、時々思い出したように、優しいキスをする。
 穏やかな時間が、ゆっくりと過ぎて行った。




 日が沈み始めると、アレックスはTシャツを脱ぎ、プールに入って泳ぎ始めた。
 美しいフォームで泳ぐ姿を、ルシガは見つめていた。

「ねえ、ルシガ来て」

 誘われてルシガがプールに入ると、水温が少し下がっていることに気づいた。

「アレックス、躰を冷やすぞ」
「ここから見る夕焼けって素敵」

 ルシガが近付きアレックスを後ろから抱き締めると、その躰は冷たかった。

「ほら、躰が冷たい。上がろう」

 アレックスは振り返り、ルシガに抱きつくと「温かい……」と、言う。
 そして唇を激しく求めてきた。
 冷えた唇とは裏腹に、アレックスの口腔内は熱かった。
 その感覚が心地よく、ルシガの躰も熱くなった。

「ねえ、ルシガ。温めて……」

 夕焼けに照らされたアレックスは、妖しいほどに美しかった。

「後ろを向いて」

 しなやかな筋肉の付いた背中が、ルシガの目の前に晒された。
 後ろから抱き締め、アレックスの躰を弄る。
 身体が触れ合う部分が、熱を持ったように熱くなっていく。

「ああ……」

 アレックスが甘い声を漏らした。

「しっとりして、気持ちいい肌だ……」

 ルシガはアレックスの耳元で囁いた。

「この景色を見ながら、ルシガに抱かれたい……」

 内股を弄ばれながら、アレックスが言った。

「ああ……抱きたい」

 ルシガはアレックスと自分の水着を脱がすと、その熟し切った身体の中に挿っていった。
 身体をぴったりとくっつけて、ゆっくり腰を動かすと、アレックスのそれがルシガ自身に食らいついてきた。

「アレックス……ちぎれそうだ……」
「ああ……ルシガ……。んっ……んっ……」
「……少し力を抜いて」
「はぁ……ふぅ……」
「ああ……そうだ」
「んっ……ああ……ルシガ……すごい」

 それから2人は日が沈んでしまうまでの間、互いの身体を求め合った。




 最後の夕食を本館のメインダイニングで済ませると、二人はコテージに戻り帰国のパッキングを始めた。 
 
「あん、荷物が入らないわ」
「買い物のしすぎだ」
「思い出がいっぱい詰まってるのよ!」

 そんな会話をしながら荷造りをする。

 パッキングを済ませると、二人でジャグジーに入った。
 いつもならセックスを求めるアレックスも、四日分の疲れが溜まったのか、大きなあくびをしている。

「疲れたか?」
「海につかったから、眠たくなっちゃった。あぁん、最後の夜なのに」

 ジャグジーから上がると、躰が解れルシガも眠気に襲われた。

 ベッドに倒れ込み、どちらからともなく、うとうとと眠りに入っていく。
 互いの身体を抱きしめあって寝る二人の顔は、幸せそのものだ。

 そして南国の島で過ごす最後の夜は、静かに過ぎて行った。


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Date:2011/02/28
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