【はちみつ文庫】 南の島の海の青 5  【R-18】
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□ 南の島の海の青  □

南の島の海の青 5  【R-18】

 旅行3日目:

 朝起きて、ルームサービスの朝食をとると、二人はロモモ島行きの高速フェリー乗り場に向かった。
 カーニバル中と言う事もあり、人でごった返していたが なんとかフェリーに乗船する。

 ロモモ島までの一時間、南国の青い海を見ながらの 快適な船旅のはずだった。

 しかしこの日は波が高く、船の揺れが激しかった。

「うっ……しまった」

 ルシガの顔が真っ青である。

「どうしたの?」
「私は……船酔いするんだった」
「気分が悪いの?」
「うっぷ……」
「大変、この袋に吐いて」

 アレックスが差し出したエチケット袋に、ルシガは嘔吐した。

「少しは気分がよくなった?」
「いや……全然……」

『まったく、魔法さえ使えれば、船酔いなど一発で治せるのに……』そう考えると、ルシガは情けなかった。

 アレックスはハンカチを水で濡らして来ると、それをルシガの額にあてる。
 ひんやりした感覚が心地いい。

「少し休んだらいいわ。アタシの肩にもたれ掛って」

 ルシガはその頭をアレックスの肩に乗せると、なんだか安心した。
 そのまま船が着くまで、ルシガは深い眠りの中にいた。




 下船をしてもまだ目が回っていたルシガに、アレックスは冷たいミネラルウォーターを手渡した。
 ベンチに座って喉を潤すと、幾分気分が楽になってきた。

「せっかくだから、歩いて行きましょう」

 ルシガの体調を気遣ったアレックスの提案で、二人は歩くことにした。

 地図を片手に十五分程度歩くと、街の中心部である大通りにたどり着いた。
 二時からのパレードを見るため、歩道を陣取っている人がそこかしこにいる。
 そこを通り過ぎ、公園へ向かう。

 風に当たりながら歩いたせいか、公園に着く頃にはルシガの気分は良くなっていた。

「顔色がよくなったわ」
「ああ……もう大丈夫だ」
「ねえ、あの像が有名なのよ。一緒に写真に写りましょう!」

 公園の中心にある海の女神の彫像は、この島のシンボルである。
 アレックスは通行人にカメラを渡すと、写真を撮ってくれるように頼んだ。

「いい顔してね」
「いい顔って……」
「少しでいいから笑って」

 写真嫌いのルシガは、どうして良いかわからないので、とりあえず口角を上にあげてみた。
 画像チェックをしてアレックスは満足していたが、ルシガにはそのニヤケ顔が嫌で仕方なかった。

 オブジェの周りにはそれを取り囲むように、多数の露店が並んでいる。

「ねえ、何か食べれそう?」
「ああ」
「あ、ボークバーガーがあるわ。ロモモ島の名物よ!」

 大人の手の平ほどの味付けポークと、千切りキャベツが入った巨大バーガーと飲み物を買い、二人は食べながら露店を見て回った。

「すごいボリュームだけど、大丈夫?」
「ああ、旨い」

 露店は世界的なカーニバルだけあって、土産物も充実していた。
 アレックスは、貝殻が散りばめられたフォトフレームフレームを見つけ、それを2つ買った。

「これに、旅行で撮った二人の写真を入て飾るの♡ 職場用のも買っちゃおうかしら?」
「職場に写真はよせ!」
「あーん、つまんない」

 しばらく歩くと、射撃コーナーがあった。
 アレックスは景品に、天使が向かい合いキスしている小さな置物を見つけ「あれが欲しい!」と騒ぐ。

「取ればいいじゃないか、射撃はお手の物だろう」
「いやん。やっぱりこんな時は、男の人が取ってくれなきゃ」
「お前も男だろ」

 アレックスはルシガの耳元で声をひそめ「でも、ベッドでは……でしょ」と囁いた。
 ルシガの顔が赤くなる。

「ねえ。取って。取って」
「わかった。わかった」

 ルシガは店主に金を渡し射撃用の銃を受け取り、先にコルク栓を詰めると、天使めがけて撃った。
 コルクは隣りの大きなぬいぐるみに当たり、虚しく地に落ちた。

「い……今のは練習だ」

 次は天使に当たったが、少し揺れただけで倒せなかった。
 たまりかねたアレックスが、ルシガの肩に手を当て「もっと力を抜いて」と、指導を始める。

「角度はこの位で、右の羽根の中心を狙って」
「お前がやればいいじゃないか」
「だめ。ルシガが取ってくれなきゃ」

 アレックスの指示に従い撃つと、天使が大きく揺れた。

「あん。もう少し! 今度はあと5ミリ上を狙って」
「5ミリって・・・」

 そんなの無理だと思いながら銃を撃つと、天使が大きく揺れて倒れた。

「やったぞ!」
「きゃー! すごい!」

 手を取って喜び合う二人の周りには、いつの間にか人だかりができていた。
 冷やかし半分に「ナイス・カップル!」と言う、声が上がる。

 ルシガは穴があったら入りたいほど恥ずかしかった。

「おい、行くぞ」
「あん。待ってー」

 天使を露天商から受け取り、駆け寄ってきたアレックスは少し涙目になっていた。

「なんだ、どうした?」
「……」
「天使は取ってやっただろう?」
「……アタシといると……そんなに恥ずかしい?」

 どうやら先ほどの態度が、アレックスを傷つけてしまったようだ。

「いや……お前だからと言う訳じゃなく……ああいう状況が照れくさいんだ」
「……」

 アレックスは泣くのをこらえ横を向いたが、今にも涙が零れそうだ。
 献身的に良くしてくれるアレックスに、酷い態度を取ったとルシガの心は痛んだ。

 そして「ああ、もう!」と言うと、ルシガはその唇にキスをした。

 それは触れるか触れないかの軽いキスだったが、通り過ぎる人から口笛を吹かれた。
 長身の美形同士で、しかもペアルックのカップルはどこにいても目立つようだ。

 キスが終わるとアレックスは唇を抑え、涙をぽろりと流した。

「泣くなよ」
「ええ。わかってる。嬉しくって、びっくりしたの」
「行くぞ。そろそろパレードの時間だろ?」
「ええ」

 2人は大通りに向かって歩き出した。




 大通りに着くと、歩道は見物客溢れかえっていた。
 体格の良いルシガですら、人の波に流されそうになる。
 気がついたら、ルシガの一歩後ろを歩いていたはずのアレックスが、3メートル斜め後ろにいた。

「アレックス!」
「ルシガ……ちょっと待って……」

 そう言われてもルシガ自身も、人並みにさらわれそうなのだ。
 このままだと、お互いを見失ってしまう。

 ルシガは自然に手を出した。
 その手をアレックスが握る。
 ルシガが力を入れて引っ張ると、やっとアレックスが隣に来た。

「ルシガ……手……」
「繋いどかないと、離れ離れになる」
「ええ」
「また泣くなよ」
「ええ」

 以前旅行に行こうと話をした時、アレックスの望みはただ一つだった。

『手をつないで歩きたい』

 その切ない願いを、今やっと叶えてやれた。
 自分の変なプライドから、ずっとできずにいた事だった。

 指と指を絡めしっかり握りしめると、アレックスの頬がほんのり染まっていくのがわかった。
 潤んだ瞳でルシガを見つめている。
 2人の心が幸福で満たされた時、爆竹の音と共にパレードが始まった。




 パレードは華やかな山車と、煌びやかな衣装をまとった人々の踊りで、実に豪華なものだった。
 何台もある山車それぞれに趣向が凝らされており、見る者の目を奪う。
 また南国独特の陽気な笑顔と踊りは、気分を高揚させられる。
 観客の熱気もすごく、フラッシュがパシャパシャと光っていた。

「あ、写真!」

 アレックスは思い出したように、観光客の一人に写真撮影を頼んだ。
 気のいい観光客が「1、2の3!」と言った瞬間、アレックスがルシガの頬にキスをした。
 ルシガの驚く顔を写すように、フラッシュが光った。

「……やったな」
「んふふふ」
「手を放せ」
「やーだ」

 いつもデートは、アレックスの部屋でと決まっていた。
 秘密主義のルシガが、外でのデートを拒絶するのをわかっているのか、アレックスからそれを求めることはなかった。
 今、こんなに幸せそうなアレックスの顔を見ると、ずいぶん我慢させていたのだ……と、改めて思わされる。
 帰国しても、たまにアレックスを連れて外に出かけようと、ルシガは心に決めた。

 パレードが終わると、2人は手を繋いだままフェリー乗り場まで歩いていた。
 一度離したら、また繋ぐきっかけを無くしてしまいそうだから……互いに手を離したくなかったのだ。
 そう……2人の乗ったフェリーが出発し、船が波に揺れだすまでは……。




 ホテルに戻ると、ルシガはヘロヘロになっていた。
 帰りのフェリーでの船酔いした上に、タクシーでホテルに戻って来たので、地面がぐるぐる回ったままだった。
食事もできないし、風呂に入る元気もない。

「悪いが寝る」と言う言葉を残し、深い眠りに落ちていった。

 ルシガが空腹に目を覚ましたのは、夜の十一時を過ぎた頃だった。

「起きた?」
「ああ……」
「ねえ、お腹、空いてない?」
「ああ……減った」
「テイクアウトでクラブハウスサンドを買って来たの。食べない?」
「貰おう」

 アレックスは温かい紅茶を入れ、サンドウィッチと一緒にベッドへ運んで来た。
 それを食べながら「夕食に行けなくて、すまなかったな」と、ルシガが言った。

「いいのよ。アタシも疲れてて、少し眠たから。それにこのサンドウィッチおいしいでしょう?」
「ああ、旨い」
「ねえ、ルシガ。眠ったら気分が良くなった?」
「ああ」
「じゃあ食事が終わったら、一緒にジャグジーに入りらない?」
「ああ」
「嬉しい♪ ジャグジーの用意をして来るわね」




 食事を済ませジャグジーに入ると、躰から疲れが溶け出すようだった。
 目がすっきり覚めて、それと同時に欲望がもたげてきた。
 どうやら南国の情熱的な祭りの余韻が、まだ躰に残っているようだった。

 アレックスは、水流に流され躰に当たる小さな気泡に「くすぐったい」と、はしゃいでいる。
 透けるように白い肌が桜色に染まり、それがルシガに火をつけた。
 ルシガはアレックスの手を取ると、その躰をジャグジーの縁に座らせた。
 アレックスに覆いかぶさり、唇を貪る。

「ん……んん……っ」

 アレックスが漏らす声に、自分がどんどん高ぶっていくのがわかった。
 その耳から首筋を舐めていき、敏感な部分にたどり着く。
 綺麗なピンク色をした乳首の尖りを舌の先で転がすと、アレックスが微かな喘ぎ声をあげた。
 わざと音を立てながら吸い、その尖りを軽く歯でかむ。

「ああ……んっ」

 堪らなくなったアレックスはルシガの髪をまさぐりながら、上半身を反らせた。
 ルシガは乳首を指先で弄びながら、その舌を腹の筋をつたい下に落としていく。
 アレックスの吐息が甘く漏れる。

 その両足を開かせると、ルシガは既に起き上がっているそれを口にした。

「あんっ。今日のルシガ……すごくエッチ……」
「嫌か?」
「……意地悪」

 その返事を聞いて、ルシガはアレックスのそれを口に含んだ。
隠微な音を立てて、激しく吸うと、アレックスが涙声になる。

「ああ……ルシガ……だめ……そんな……」

 今度は激しく口を上下する。
 その動きに合わせて「あっ……あっ……あっ……」と泣き声が漏れた。
 今にも弾けそうになったそれを確認すると、ルシガは「おいで」と言い、その両手を広げた。
 アレックスはルシガの首にしがみつき、その膝の上に跨った。

 二人は互いの口腔内の隅々まで味わうような、長いキスをした。
 唇を離すとアレックスが溜め息を漏らす。

「ルシガ……早く、ちょうだい……」

 ハスキーな甘た声に誘われ、ルシガはアレックスの躰に侵入した。
 アレックスの中は熱く、ルシガのそれをきつく締め付ける。

「はぁ……っ」

 恍惚の表情で、アレックスが甘い息を吐く。
 だがルシガの動きはあくまでも緩やかで、アレックスの一番敏感な部分をわざと刺激しないように腰を揺らした。

「あ……んっ。意地悪。意地悪」

 堪らなくなり、自分で動こうとするアレックスの腰を押さえつけ、ルシガはその速度を崩さない。

「ああ……ルシガ……お願い……」

 アレックスの目に涙が溢れるのを見るて、ようやくルシガはその部分を突いた。

「ここか?」
「ああっ!……いいっ!」

 アレックスの締め付けが強くなる。
 ルシガは強弱をつけてアレックスを突きながら、片手でそのいきり立った物を扱きはじめた。

「あんっ。あんっ……ルシガぁ……」

 アレックスは仰け反り、眉根をひそめ、その行為に没頭している。
 ルシガの動きが次第に激しくなる。

「あっ……あっ……ああ……っ」

 前と後ろを同時に責められ、アレックスは一気に高みへ昇っていった。

「ルシガぁ……ルシガぁ……」

 ルシガの名前を呼びながら、激しく腰を振る。
 その刺激と、アレックスを善がらせているのが自分だと思うだけで、ルシガも達しそうになった。

「アレックス……堪らない……」
「ああ……んっ。ルシガ……アタシも……」

 湯船が揺れるほど、アレックスを激しく突き、2人は同時に達した。
 終わった後も二人は名残を惜しむように、暫く腰を動かし続けていた。


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Date:2011/02/27
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