【はちみつ文庫】 天使の値段 2 【R-18】
2ntブログ

はちみつ文庫

□ スポンサー広告 □

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

*    *    *

Information

□ 天使の値段  □

天使の値段 2 【R-18】

 冬のロンドンの陽《ひ》は短い。

 昼間のシーンを三時までに撮り終わると、場所を移動して夜の街灯のシーンを撮り始めた。

 いつもなら夜通し行なわれる撮影が、この日は夜の七時に解散になったかと思うと、ルシガが傍にやって来て、僕に耳打ちをした。

「アレックス、九時からパーティーだ。すぐに用意しろ」

 彼の命令はいつも唐突だ。

 僕はホテルに急いで帰ると、シャワーを浴び、髪を整えてタキシードに袖を通した。
 用意された黒いタキシードは、ロンドンの老舗テーラーで仕立てられた物だ。
 白いベストを合わせた白いタイは、自分で結ぶタイプで、すべてが彼好みの、趣味の良い最高級品だった。

 着替え終わった頃に、ルシガがノックもせずに部屋に入って来た。

「タイを結んでくれ」

 手渡された黒いタイを彼の首に回し、それを蝶タイに結ぶ。
 僕にタイを結ばせている間、彼は携帯でメールのチェックをする。

「できました」

 僕が言うと、彼は携帯を閉じて僕に命じる。

「咥えろ」

 言われるがまま、僕は彼の足元に跪くと、彼自身を取り出し口に含んだ。
 服を汚さないように細心の注意を払い、それ高めていく。
 始めは舌で弄《もてあそ》べたそれは、すぐに口に入りきれない大きさになった。

「……くぅっ……ふぅ……」

 慣れた今でも思わず声が漏れるほど、彼の物は大きく、苦痛である事に違いはなかった。
 それでも激しく顔を前後させ、それを飲み下そうと僕は務めた。
 苦しい作業であったが、彼の大きな手で頭を弄《まさぐ》られただけで、不思議と僕は幸せな気持ちになれた。
 それはまるで彼から与えられる、褒美のように思えたからだ。

 彼の溜息と共に吐精されたそれを、喉の奥で飲み下すと、僕はそれを綺麗に拭き、服の中に収めた。
 一連の動きは、彼に慣らされたものだった。
 事が終わると、ルシガは腕時計を見て「時間だ」と言って、部屋を出て行く。
 その後ろをハンカチで口元を拭きながら、まるで紐を付けられた子供の様に、僕は付いて行くしかなかった。




 パーティー会場に着くと、毎回僕は多くの人に紹介される。
 その全ての名前と顔を覚え、いつどこで話しかけられても、瞬時に思い出せるようにするのが僕の仕事だった。

 ルシガに紹介された人々は、口々に言う。
 
「期待の新人とは、貴方ですか?」
「まあ、なんて綺麗なのかしら。金色の髪に空の様なブルーアイ。まさしく天使ね」
「プロデューサーの目にとまり、電撃デビューとは何と幸運な!」

 そして僕が去った後はまるで値定めするように僕を見、遠くでヒソヒソと噂話をし始めるのだ。
 彼らの話していることは分かっていた。

「どうやってプロデューサーに、取り入ったんだ?」
「決まってるじゃない、身体よ、身体」
「あの顔と身体で、取り入ったに決まってるじゃないか」

 何度となく繰り返された光景が、今夜も目の前で起こっている。
 それはまるでデジャヴの様だった。
 こんな時僕は思う。有名スターでもない限り、俳優なんて男娼と何ら変わりないのだと。
 不特定多数の客を取らなくても、僕はルシガの物である事に違いはない。

 それでも僕は彼から離れると、まるで親を失った子供の様に心細くなってしまう。
 洒落た話術などない僕は、ただカクテルを飲み、遠くから彼を眺めるしかなかった。

 ルシガはどこにいても目立っていた。
 彼自身が俳優になればいいと思うほど、美しかった。
 長身にタキシードをまとった姿は、下手な名士よりずっと高貴に見えた。
 パーティーで人々と語らうルシガは、どこまでもにこやかだ。
 2人きりの時には、けして見せてくれない表情に、僕はどちらが本当の彼か判らなくなる。

 そんな彼の姿を、気がついたら眼で追うようになったのは、いつからだろうか。
 群がる女達に彼が微笑むたびに、疼くこの気持ちは何なのだろう?
 分かっていながらも、それを僕はそれを認めたくなかった。

 そうやって僕が壁の花になっていると、一人の男が話しかけてきた。
 中東の装束を着たこの男とは、パーティーで一度会ったことがあった。

「アレックス君。君に話しかけてもいいかな?」
「お久しぶりです。アサード様」
「ほお。私を覚えていてくれたのかね?」

 髭を蓄えた恰幅の良い男は、満足げに微笑んだ。

「はい、もちろんです」
「それは光栄だ。映画の撮影は順調かな?」
「ええ、おかげさまで」

 教養のない僕に出来る会話はここまでだった。
 それを彼は感じ取ったようで、すぐにこう尋ねて来た。

「ルシガ氏はどこだ?」
「あちらのテーブルで、マーシャル氏と話しています」
「そうか。ではまた」

 そう言うとアサードはルシガの所に行って、何やら話をし始めた。




 パーティーが終わり車に乗ると、ルシガは酷く不機嫌だった。
 深く目を瞑り、苛立ちながら何かを考えている。
 ホテルに戻りエレベーターに乗ると、ルシガが僕に言った。

「シャワーを浴びたら、私の部屋に来い」

 僕の背中に冷や汗が流れた。

「……はい」

 返事をしながら僕は考えた。
 
 ―――おかしい……今日は何も失敗していないはずだ。
 なのに不機嫌の理由が自分なのは、何故だろう?

 彼が、自分の部屋に僕を呼び付ける時―――それは、仕置きが待っている事を暗示していた。




 裸にされ、首と両手に黒革のベルト状の枷《かせ》を付けられた僕は、背中の位置でそれらを繋がれ、海老の様に胸を反らしていた。

「アサードと何を話した?」
「……ただ挨拶をしただけです」
「挨拶だと?」
「ひぁあああっ!」

 いきなり乳首を強く摘ままれ、僕は悲鳴を上げた。

「お前を買い取りたいと言ってきたぞ。誘惑したのか?」
「誘惑なんて……してない」
「……」
「本当です。……信じて!」

 ルシガは刺すような視線で、僕を見ている。
 拘束が僕の身体を震えさせ、立っているのも精一杯だった。
 そんな僕を、彼は胸を突いてベッドに押し倒した。

「罰を与えなければならんようだな」

 彼はベッドサイドに置いてあった小瓶を取り上げると、その蓋を開けた。
 芳香を部屋中に漂わせるこの薬は、アラブ諸国の王たちが使う媚薬だった。
 粘膜に塗り込められると感度が数倍になり、男が欲しくて堪らない身体にさせられる代物だ。
 ルシガは僕の脚を押し開くと、それを塗り込み、蕾を解していく。
 円を描くように柔らかに指を動かされただけで、声が漏れてしまうほど身体が疼いた。

「白い肌が、色づいてきたな」
「あっ……あぁ……」
「その揺れる様な青い瞳で、アサードを惑わしたのか?」
「ち……違う」

 彼は僕のペニスに手を伸ばしてきた。媚薬で起きかかっていたそれは、軽く扱かれただけですぐに高まってしまった。
 完全に起き上がると、彼はそこに何かを付け始めた。

「いや……何を……?」
「達けないようにしてしてやる」

 ルシガはペニスの根元に、黒皮で出来た小さなベルトを縛りつけていった。
 3連になったそのベルトは僕のペニスをきつく締め付けた。

「やっ……やぁ……」
「体中を縛られたお前は、まるで堕天使だな」
「うっ……」
「さあ、こっちに来い」

 そう言うとルシガは僕の身体を、彼の膝の上に持ちあげた。
 向い合せに抱きしめられ、彼の物が僕の中に入って来る。

「あ……っ」

 彼は僕の後ろを貫きながら、その手で前を弄った。
 拘束されたその先を、揉みしだく様に苛められると、行きどころのない快感が僕の身体の中で暴れまわった。

「ひっ……あぁ……っ。もう、許して……」

 僕の涙が零れるのを確認すると、彼は僕を貫いたま仰向けになり、僕に命じる。

「動いてみろ」

 彼の物が欲しくて堪らない僕は、両腕を後ろ手に縛り上げられたまま、身体を揺すった。

「あっ……あっ……あぁ……っ!」
「ふっ。淫乱だな」
「あぁ……お願い……」
「外して欲しいのか?」

 僕は素直に頷いた。

「まだだめだ。もっと腰を振れ」
「苦……しい……」
「だったら私を楽しませろ」

 僕は前に爆弾を抱えたまま、懸命の腰を振った。
 リズムを付けて腰を上下させると、蕾の奥が熱くなるのがわかった。

「あっ……あぁんっ。……んっ。んっ」

 唇を噛み締め、全神経をそこに集中させると、快感が湧き上がってくる。
 そこまで来ると、後はあっという間だった。

「あんっ! ……や、やだ……あぁぁぁぁっ!」

 僕の後ろが律動した。そのヒクつきが彼の欲望を満たしたのか、ルシガも後を追うように達った。
 彼の白濁が僕の中に吐き出されると、ルシガは僕に言った。

「後ろだけで達けるようになるとはな」
「はぁ……お願い、ルシガ……もう……」
「可愛い奴だ……」

 そう言って彼は、僕の拘束を全て解くと、今度は「私の目の前で、マスタベーションしろ」と命じた。
 自由を得た僕は手を伸ばし、露わな格好で自分自身を扱く。

 はち切れんばかりになっていた僕のそれは、あっけ無いほどすぐに弾けて……散った。



BACK TOP NEXT

参加しています。よろしかったら、ポチお願いします。
     ↓

 にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

*    *    *

Information

Date:2011/03/18
Trackback:0
Comment:2

Comment

* 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011/03/21 【】  # 

* 鍵コメR様

今回の地震には私も心を痛めています。
そちらは被害の方はいかがでしたでしょうか?
気持ち的に浮上されたとのこと、安心いたしました。
ツイッター、やってみたいと思っているのですが、今は忙しくて手が回らない状態です。
こういうときは、心のつながりがうれしいですよね~。

相変わらず、熱くルシ×アレを書いています(笑)
メッセージいただけて、嬉しかったです♪
2011/03/22 【ねむりこひめ】 URL #- 

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://rusigalex.blog.2nt.com/tb.php/38-4c622f53
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)