蝋燭の灯りの揺れる中、ルシガはアレックスの躰を布団の上に横たえた。
「ぁ……ぃゃ……」
今にも消え入りそうな声で、アレックスが抗う。
ルシガの指先が浴衣を捲り、その太腿に触れたからだった。
「嫌? なぜ?」
「……」
「恥ずかしい?」
「……ええ」
「愛しているよ、アレックス」
「……ルシガ……」
「おまえの全てを知りたい。私の全ても……知って欲しい」
――ああ、私はなんてカッコイイんだ!
ルシガは自分に酔っていた。
そんな腹黒さも知らず、アレックスの力が緩む。
その隙を見て、ルシガの手がその吸い付くような内腿を弄っていく。
「……ぁぁっ……」
「気持ちいい?」
「……ゃ……」
「感じることは恥ずかしいことじゃない。もっと声を出して」
「だって……。あん!」
急に胸の合わせから手を差し込まれ、アレックスは小さな悲鳴を上げた。
「まだ何もしてないよ?」
ルシガはそう言いながら、アレックスの帯を解いていく。
浴衣の前を広げられ、アレックスが恥ずかしさに両手でその顔を隠した。
ルシガは、指先で乳輪を円を描くように撫でるとと、小さなその尖りを軽く弾いた。
「あぁ……!」
「綺麗だよ、アレックス。……もっと気持ちよくなろうね」
歯の浮くような台詞をしゃべりながら、ルシガは片方の手をその下腹部に伸ばした。
下着の上からその形をなぞり、その乳首を口に含む。
「はぁっ! ……や! ……やめて!」
「どうした?」
「こ……怖い……」
「怖い? 私が?」
「違う、ルシガじゃない!」
アレックスは頭を振る。
そして「……なんだか分からないけど……怖いの」と、その顔を隠しながら言った。
――く~! 可愛い! しかしこんな調子では、一晩経ってもやれんぞ。
そう思ったルシガは、アレックスの手を無理矢理顔から離した。
その顔は恥ずかしさに染まり、瞳からは涙が零れていた。
ルシガは指先でその涙を拭うと、瞼にキスをした。
それから頬、顎、首筋へと、唇を下げていく。
同時に、下着の上から優しく彼の鞘を撫でた。
アレックスのそれはその恐れとは裏腹に、弾けんばかりの状態になっている。
――心はお堅くなっても、躰は感じるんだな。
再び乳首を吸うと、軽い抵抗はあったが、甘い吐息が漏れ始めた。
「はっ……ぁっ……んっ」
指を噛みながら悶える姿は、絶品である。
ルシガは下着に手をかけた。
「あっ! 嫌!」
それを止めようとしたアレックスの乳首を軽く噛むと、躰がビクリと跳ねた。
腰が浮いた瞬間に、ルシガは下着をずらした。
――私は天才かもしれん!
そのまま何度かに分けて、下着を脱がし、アレックスのみを隠す物は何一つなくなった。
――良し、これからが本番だ!
果たして、どうやって尻を解せばよいものか?
積極的なアレックスは、セックスの準備は自分でするのがほとんどだった。
それ故、これに関してはルシガは素人に近かった。
自分がやりやすく、なおかつアレックスに抵抗が少ないポーズとは?
……ルシガは枕を二つ取ると、アレックスの尻の下に挟んだ。
「何をするの?」
戸惑うアレックスの両脚を肩に掛けると、腰を掴む。
そして、立ち上がった鞘を口に含んだ。
「やーっ!」
アレックスは足をばたつかせたが、ルシガは離さなかった。
「嫌……ルシガ……お願い、許して……ぁああっ!」
「もごご(嫌だ)」
「……あぁっ……ぃゃ…… 」
アレックスが快感を耐えているのを確認すると、ルシガは腰から手を離し、布団脇に置いていた潤滑ジェルを取った。
口で扱きながら、ジェルを絞りだし、アレックスの蕾に垂らす。
「ひぁっ!」
アレックスの腰が大きく浮き上がったとき、その鞘がゴボッとルシガの喉元深くまで入り込んだ。
「あぁーっ!」
その刺激にアレックスは悲鳴を上げたが、ルシガも堪ったものではなかった。
――こ……こんな苦しいことを、アレックスはいつもやっていたのか!
その思いと、呼吸のできない苦しさに、ルシガは泣きそうになった。
しかしアレックスは、それ以上に泣いている。
「うぅぅ……いや……やめて」
――すまんが、止めるわけにはいかんのだ。
ルシガは蕾を、くるくると解し始めた。
「あっ……あぁ……うっ、うぅっ。……ぃゃ……ぃゃ……」
アレックスは神に祈るように指を重ね、その手を額に当て泣いている。
拒む力もなくなったのか、その声は消え入りそうだった。
ルシガはそんな姿を一瞬哀れに思ったが、このままではいられない。
せめて優しく、できるだけ快感を得られるように愛してやることが一番なのだ。
――すぐに良くしてやるからな。
ルシガはゆっくりと蕾の中に指を差し込もうとした。
しかし、蕾は堅く閉ざされていた。
少しでも力を逃してやらなければならない。
ルシガは、アレックスの性感帯である、太股の付け根を舌先で嬲った。
「あっ! いや……ぁんっ!」
激しく躰をくねらせて、喘いだ隙に指を少しずつ忍び込ませる。
一本の指が入れば、二本目は楽だった。
本人は忘れていても、躰は男の指を覚えていた。
敏感な丘を優しく撫で上げると、アレックスの内股が小刻みに震えた。
「ぁあっ……ひっ。……ぃや……」
「でもここは欲しがってる」
「ぁあ……っ。うっ。……うぅ……っ」
お堅いアレックスは、感じること自体を恥じ、泣き崩れていた。
その手は先程のまま、固く閉じられている。
やっと三本目の指を出し入れできるようになったとき、ルシガはアレックスの脚を折りたたむようにして彼の上に覆い被さった。
いよいよ挿入の時である。
しかし、アレックスはまだ手を顔の前で重ねたまま、震えていた。
「アレックス……顔を見せてくれ」
「……」
「アレックス?」
「……れ…ない」
「え?」
「手が……離れない」
「手が……?」
ルシガがアレックスの手を触ると、血の気が失せたように冷たくなっていた。
羞恥を耐え、力を入れ握りしめていたので、手が固まってしまったのだろう。
石のように硬く繋がれた指は、力で容易に外せるものではなかった。
ルシガは手を温めながら、少しずつ指を外していった。
一本指を外す度に、ルシガの心は冷静になっていった。
――こんなになるまで我慢させたなんて……。
ルシガはアレックスが望まないなら、このままでいいと、この時思った。
セックスだけが愛じゃない。
プラトニックでいいじゃないか。
ルシガは、浴衣をそっとアレックスに掛けた。
「……ルシガ?」
「もういいんだ。無理をさせてすまなかった」
「ルシガ……だって……」
「いいんだ。アレックス」
「……ルシガ」
「ん?」
「……抱いて……」
ルシガは我が耳を疑った。
「しかしアレックス……」
「アタシ……最初を……ルシガにあげたいの」
――って、最初じゃねーし!
そう突っ込みを入れながらも、ルシガは嬉しかった。
ルシガはアレックスの躰を抱きしめ、その唇に優しくキスした。
「苦しかったら私の背中に爪を立てればいい」
ルシガはアレックスの手を自分の背中に回させた。
「力を抜いて」
そう言うと、ルシガはアレックスの躰に押し入っていった。
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