【はちみつ文庫】 白い薔薇は夜散らされる 5 【R-18】
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□ 白い薔薇は夜散らされる  □

白い薔薇は夜散らされる 5 【R-18】

翌朝小鳥のさえずりと共に、アレックスは目覚めた。
頭が重く、昨夜のことが夢のように思える。

しかし躰は軋み、下肢が違和感を訴えている。

掛布が肌から滑り落ちると、剥き出しの躰が見えた。
真っ白な雪のような肌に 紅く咲いた鬱血痕が、昨夜の男の熱い唇を思い出させた。

――夢じゃなかったんだ……。

身体中に男の名残を感じた。
あの後 躰が疲れ果てるまで、男に貫かれ、扱かれ、何度も精を吐いた。
麻薬のような男の声が蘇る。

「お前が私の色に染まるまで、何度でも抱きに来る」

その低く艶やかな声を思い出したとたん、背筋をぞくりとしたものが駆け抜けた。
アレックスの若い躰は、昨夜さんざん吐精したというのに 朝の熱を帯びていた。
いつもなら我慢できるそれを、快感を知ってしまった躰は 止めることができなかった。

アレックスは男の手や唇、そしてあの逞しいペニスを思い浮かべながら、自分のそれに手伸ばした。

「ぁ……っ」

指を甘く噛み、漏れる声を抑える。

ほころび始めた蕾が刺激を求めていたが、どうしていいか分からなかった。
ただ男の熱いペニスに嬲られた感覚だけを思い出しながら、アレックスは拙い動きでペニスを扱いた。

「ん……。抱いて……抱いて、もっと……はぁっ」

アレックスは、妄想の中でもう一度男に抱かれた。
媚薬を使われ無理矢理抱かれたのではなく、自分自身の意思で……。

しかし白い露を吐いたとたん、それは罪悪感へと変わった。
そして果てしない絶望が彼を包んだ。

――想っても仕方ないことなのに……。

自分は後ほんの少しで、グブロー男爵の囲われ物になるのだ。
それを変えることはできないのに、名前も知らぬ男に惹かれる自分を 止めることができなかった。

自分を犯し、名前も知らない怪盗……。
憎んでもいい相手なのに、恋しくて仕方ない。

怪盗バイオレットはアレックスの躰だけでなく、その心まで盗んでしまったのだ。




昼の下町の食堂。

話題は怪盗ヴァイオレットの、ブランシェール邸での失敗談でもちきりだった。

「せっかく入ったのに、名ばかりの貧乏貴族の家にはお宝がなかったってよ」
「あの伯爵の叔父ってやつは、たいそう酷い奴らしいな」
「ああ、甥っ子の伯爵を男妾にさせて、贅沢三昧らしいぜ」
「その相手が、ブグローって言う田舎男爵なんだってさ」
「こいつがまた悪どい商売をやってるんだってな」
「ま、どっちにしたって、怪盗ヴァイオレットが失敗したことに変わりはないさ」

その話しを、食堂の片隅でひっそりと聞く二人の男がいた。
一人は輝くような銀髪に紫の瞳の持ち主で、もう片方は 長髪の黒髪に意志の強そうな濃紺の瞳の どちらも目が覚めるような美青年だった。

「まったく……不名誉なことだ」

銀髪の男が、不快そうに髪をかき上げながら言うと

「……まあそう言うな」

黒髪の男が片頬で微笑み、なだめるように言い返した。

「ブグローに一泡吹かせたいからと言って、何とも面倒な事を。……男色は嫌いじゃなかったのか?」
「……」
「今夜も忍び込むつもりか?」
「……」
「ご執心なことで……」

黒髪の男は横を向くとと、フッと笑った。
それを見つめる紫の瞳に 寂しげな影が走ったのを、知る者はいなかった。




怪盗ヴァイオレットは宣言どおり、毎夜アレックスの寝室に現れた。
アレックスは男に抱かれる度に、自分の躰が染まっていくのを感じたが 拒むことはできなかった。

今夜もカーテンを閉めた室内に ランプの明かりが妖しく揺れる中、アレックスは仮面の男に抱かれていた。
ベッドに腰掛けた男の膝に 後ろ向きに抱きかかえられ、脚を大きく広げられた姿が
大きな姿見に映しだされている。
乳首を弄ばれながらペニスを扱かれる姿に、アレックスは興奮を覚えた。

男の赤黒く血管の浮き出た逞しいペニスが、彼の蕾に押し挿ってくるのが見えた。
男は指先で アレックスのペニスの鈴口を焦らすように弄びながら、首筋に紅い印を付けていく。

「あぁ……。んっ。ぅうんっ……」

アレックスの口から甘い声が漏れだしていた。

「……アレックス。私のアレックス……ほら見てごらん、綺麗だ」
「嫌……恥ずかしい……」
「お前の可愛い蕾が、私を咥え込んで離さない。……気が狂いそうだ」
「んっ……僕も……」
「綺麗に色付いた躰を見てごらん。こんな美しい人間を私は見たことがない」

何度も抱かれているうちに、 ほんのりと紅く染まってきたペニスと蕾が鏡の中で震えていた。

「あんっ……お願い。……もう……動いて」
「可愛いお強請りだ……」

男は激しく腰を動かし始めた。
リズミカルに突かれると、それが弾みになってアレックスの躰が自然に動く。
男のカリが丘を擦り上げると、躰がどんどん熟していった。
求めていた快感が、腰から背中へと湧き上がってくる。

「はぁ……んっ。……あぁ……!」

アレックスのペニスが、男の動きに合わせて揺れた。

「はぁっ。……んっ!」

前を弄られないもどかしさに、躰が震えると、男がビロードのような声で囁きかけてきた。

「扱いて欲しいか?」

アレックスは快楽に目を伏せ、口を半開きにしたまま頷いた。

「だめだ。自分で扱くんだ。淫らな姿を、私に見せるてごらん」
「いや……はぁああああっ!」

男はアレックスを指したまま、腰をグリグと回した。

「出来るだろう? さあ、触って」
「あっ。……はぁんっ」

アレックスは唇を噛むと、ペニスに手を触れた。
快感を貪り尽くしたかった。
この数日間の間に、彼の躰は男によって 淫らに作り替えられていたのだ。

ペニスを握ったアレックスの手に、大きくて温かい男の手が重なる。

「ほら、動かして」

男の手にリードされ、アレックスはペニスを扱いた。
快感に蕾がすぼまり、男の物を締め付ける。

「なんて厭らしい躰だ。……堪らないよ、アレックス」

男の動きが早くなる。
激しく後ろを突き上げられ、ペニスを扱かれると、口から溢れた唾液が筋を付くって滴った。

「あっ。……んっ。んっ。」

瞑った瞼が蝋燭の明かりを受け、紅い光が点滅する。
男に背中を押され、前屈みになると、ペニスがより深く丘をえぐった。

「ひぁっ! ……はぁんっ! んっ! んっ!んっ!」

ゴリゴリと前と後ろを同時に責められ、アレックスの感覚は飛ばされた。

「ああっ! あーっ! あああああっ!」

悲鳴に似た声と共に、アレックスのペニスから白濁がトロトロと零れだした。




何度もの行為の後、男は躰を離すと服を着始めた。
アレックスはベッドから起き上がり、裸のまま男の背中に抱きつくと、か細い声で訴える。

「……行かないで」
「……また来る」
「名前を教えて……顔を見せて」
「お前は、お強請りばかりだな……」
「お願いだから……」

男はアレックスの顎を持ち上げると、唇を重ねてきた。
愛情の全てを感じるような、熱く激しい口づけだった。
そして唇を離すと、頭に軽くキスをしながら男は言った。

「私たちは秘密の恋人だ。知らなくていい……」

その時、アレックスの心が音をたてて壊れた。
唇の震えを押さえることが出来なかった。
知らぬ間に涙が一筋零れた。

――この行為に、愛などなかったのだ。

愛を知らずに育った少年の恋は、あっけなく散った。

涙を見られまいと俯いた顔を、男は持ち上げると 再び唇を重ねた。
残酷な優しさに、アレックスは涙を止めることが出来なかった。



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Date:2011/05/09
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