【はちみつ文庫】 白い薔薇は夜散らされる 11 【R-18】
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□ 白い薔薇は夜散らされる  □

白い薔薇は夜散らされる 11 【R-18】

グブロー邸に拉致されたアレックスは、書斎の椅子に座らされていた。

左右には警備兵が立ち、入り口の前に立ったもう1人の警備兵が、正面からいかめしい顔つきで彼を見据えている。
外はすっかり日が暮れたらしく、執事がやって来て部屋の蝋燭に火を灯し、すぐに出て行った。
沈黙が部屋の空気を凍てつかせる中、アレックスは身じろぎもせず蝋燭の炎が揺れるのを眺めていた。

――もうどのくらい経っただろう? ルシガは僕を心配しているだろうか?

そう思った時だった。
廊下からけたたましい足音と、怒声に似た声が聞こえてきた。
声は次第に近づき、大きくなる。
乱暴に扉が開けられると、警備兵が壁際に動き、この家の主を招き入れた。
小太りでヒキガエルのような顔をした、グブロー男爵である。
彼の後には、痩せた蜥蜴のような叔父の姿も見えた。

男爵はゆっくりと部家に入ってくると、椅子に座ったアレックスを見下ろした。
その眼差しはいつも彼を見る淫靡なものではなく、冷酷そのものだ。
男爵のもう一つの顔を知り、アレックスの背筋に冷たいものが走った。
男爵はアレックスの顎を持ち上げると、憎々しげに言った。

「お前が昨夜この部屋に入った後、金庫が荒らされ、私の大切な客人がいなくなった。どう言うことかね?」

アレックスは無言で男爵を見返した。

「ほう……。いつからそんな顔をするようになった? 綺麗なだけが取り柄の人形が、私を睨むようになるとはな……」
「アレックス! 男爵になんという態度だ。謝りなさい!……グブロー男爵、本当に申しわけございません。よく言って聞かせますので……」

慌てて口を挟んだ叔父を、男爵は聞く気がないと言わんばかりに、手の動きで遮った。
そしてアレックスの耳元で、粘り着くような声で囁く。

「金庫の物を返し、ヴァイオレットの居場所を教えれば、ペットとして一生可愛がってやろう。さあ、素直にいってごらん」

アレックスは首を横に振った。

アレックスはこれまで、流されて生きていくことが自分の運命だと思っていた。
だが今は違う。
彼の中で何かが変わっていた。
ルシガと出会い、自分の意思で彼を助けようと行動したことが、彼に自信を与えたのかもしれない。

アレックスの瞳から強固な意志を感じ取ったのか、男爵は鼻を鳴らし彼から離れると、警備兵に言った。

「ブランシェール伯爵を、例の部屋にご案内しろ」

その言葉と同時にアレックスは両脇を持たれ、立ち上がらされた。
武装した警備兵に、抵抗のしようはない。
アレックスは自らの足で、その部屋へと向かった。





その部屋に入ると、アレックスは不思議な感覚を覚えた。
普通の部屋とはどこか違う。
間違い探しをするように部屋をよく見ると、肝心な窓がないことに気付く。
そのせいか、空気がよどんでいた。
汗と体液と……そして血が混じったような匂いを彼はは感じ取っていた。

大きなベッドの以外は、人が入れそうなほどの巨大な鳥かごや、黒い鉄製の揺り馬、そして見慣れぬ器具らが置かれているだけだ。
家具らしい家具はないので、グブロー男爵の寝室ではないだろう。

では何のための部屋なのか……。
アレックスの脳裏に、アーロンの無残な姿が浮かんだ。
後孔を傷つけられ、背中を鞭で打たれ血だらけになった姿を思い出し、アレックスは小さく身震いした。





男爵は警備兵を外に出すと、重い扉を閉め、鍵をかけた。
部屋に残ったのは男爵と叔父、そしてアレックスだ。
叔父は興味深げに部屋を見渡し、馬のオブジェの背についた突起に触れていた。

小太りで背の低い男爵はアレックスの隣に立つと、その馬を指さして言った。

「見なさい、あの馬の突起を」

よく見れば、それは巨大な男性器の形をしていた。
黒々とした鉄製のそれは、歪なほど亀頭が大きく、幹には鋭い尖りがついている。

「お前の可愛い蕾にあれを咥え込ませ、私が馬を揺らしてやろう。……ぐふふふふっ」

その言葉聞き、アレックスは反射的に扉に向かった。
しかしノブを回し、体当たりしても扉はびくともしない。
背後から男爵が声を掛けてきた。

「無駄だよ、アレックス。例え出られたとしても、外には警備兵がいる。……なに、心配することはない。何の経験もないお前の躰を、まずはじっくり味わせてもらおう。……お仕置きはその後だよ」
「嫌だ!」

アレックスの激しい拒絶に、叔父が声を荒げた。

「何を言ってるんだアレックス! 今日はお前の誕生日、約束の日だ。さあ、いつものようにおとなしく服を脱ぎ、男爵の言うことを聞くんだ!」
「嫌だ、嫌だ、嫌だっ!」
「子供みたいに駄々をこねるんじゃない」

その時、男爵の不気味な笑い声が部屋に響いた。

「ぐふふふっ。従順なお前も可愛かったが、反抗するお前にはよりそそられるよ。……私はね、嫌がる者を無理矢理犯すのが何よりも好きなんだ。それが初物であれば、なおさらにね」

そう言うと男爵は、アレックスの躰に手を伸ばしてきた。
背丈はアレックスの方が高いが、でっぷりと太った男爵には力がある。
もみ合っていると、叔父がアレックスの後ろに回り、脇を羽交い締めにしてきた。

「離せっ!」
「まったく、何処でそのような下品な物言いを覚えたのか。……さあ男爵、ご随意に」

叔父のその言葉に男爵は頷くと、ブラウスの襟元に手を伸ばし、縦に引き裂いた。

「嫌ぁーっ!」
「ぐふふふっ。いい啼き声だ。もっと、啼け。啼き叫べ!」

しかし次の瞬間、男爵のその下卑た笑みが消えた。

「……これはどうしたことだ?」

破られたブラウスの間から見える真珠のような肌に、深紅の花びらが散っていた。
昨夜、ルシガの唇が残した印だ。
顔色を失った男爵は、乱暴にブラウスを開いた。
色を持たぬはずの乳首は薄紅色に染まり、その花心は微かな膨らみを持っていた。

「まさか? まさか?」

我が目を疑った男爵は、ズボンに手をかけた。

「嫌だっ!」

アレックスは無意識に、男爵を蹴り上げた。
男爵は無様に床に尻をついたが、起き上がると、鬼の形相でアレックスの頬を殴ってきた。
その手が彼の耳に当たり脳震盪を起こしている間に、男爵と叔父が2人がかりでズボンと下着が剥ぎ取る。

「ああっ!」

2人は思わず声を上げた。

白い鞘が赤みを帯びているだけではなく、蕾が昨夜の名残でぽってりと膨らみ、薄く色づいていたのだ。

「これは……どういうことだ?」
「……そんな馬鹿な……」
「説明しろ!」
「私はちゃんと見張っていました。こんなこと、ありえない……」
「あるではないか、現実に!」

男爵の声にアレックスは目を覚ました。
彼が起きたことに気付かぬ2人の会話を聞きながら、自分が今まで縛られていたものについて考えた。

実に滑稽な茶番だ。
叔父の監視の下、何も知らなかった……いや知ろうとしなかった自分は、なんと愚かだったのだろう。
2人の会話を聞いていると、自分が彼らのいいようにされていたのが分かった。

――なんと強欲で、欺瞞に満ちた人達だろう。

彼の冷めた視線に、先に気付いたのは叔父だった。

「アレックス、どういうことだ? 説明しなさい」
「何の説明でしょう?」
「お前の……その躰は何だ!」
「……僕には愛する人がいます」

「なんだと?」

言葉を挟んだのは男爵だった。

「お前は、その男と寝たのか?」
「ええ。愛していますから。彼に……何度も抱かれました」

この時アレックスは確信した。
自分がルシガに抱いた不信感が、どれだけ愚かであったかを。
あの時ルシガの言葉を聞こうとしなかった自分が、子供じみて思えた。

ルシガは多くを語らない。
しかし彼が語ったことに、嘘はなかった。
何よりも彼の愛を全身で感じたというのに、どうしてそれを疑ってしまったのだろう。
その唇の熱さや、手の温もり、自分に触れる全てに愛しみに溢れていたというのに……。

――そうだ、僕はルシガを愛している。彼を信じる。

その時だった。

アレックスは突然腕を握られ、力ずくに投げられた。
躰が落ちたのは床ではなく、あの大きなベッドの上だ。

「小僧が! 何も知らぬと言う顔をしながら、私を騙したのか! 許さん、許さんぞ!」

ブグロー男爵の顔は憎悪に燃えていた。
『汚れを知らぬ美青年』を手に入れるために、何年も待っていたのだ。
契約を破ったことを、この執念深い男が許すはずがなかった。

「おい、コイツを押さえていろ!」

男爵がそう言った相手は、叔父だった。
驚くことに叔父は言われるがままに、アレックスの躰を押さえ込んだ。

「叔父上?」
「お前が悪いのだアレックス。その躰で男爵の怒りを静めるしかあるまい」
「貴方という方はどこまで……」

アレックスは悔しさに、その唇を震わせた。
かりにも後見人である叔父が、自分を売るだけではなく強姦の手助けをしようとしている。
男爵は叔父に大金を握らせ、彼を見張らせていたのだろう。
アレックスの純潔を守れなかったことは、叔父の責任になるようだ。

この保身だけの浅ましい男と、血の繋がりがあるのが情けなかった。
そしてその現実が、彼から抵抗する力を奪っていた。

その間にブグロー男爵は裸になると、どっぷりと太った腹を揺らせながらベッドに上がってきた。
重みでベッドがたわみ、我に返ったアレックスが、身体の自由を取り戻そうとしたときにはすでに遅かった。
2人の男に胴と腰を持たれ、尻を高く上げられ身動きがとれない。

男爵のねっとりとした舌が、アレックスの腰から尻へと這っていく。

「嫌ーっ! やめてっ!」
「ぐふふふふっ。やめるさ。尻など解してやるものか。固く閉じた蕾に、無理矢理ねじ込んでやる」
「嫌だぁっ! ……ルシガ、助けて!」

アレックスの叫び声が部屋に響いた。



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以下、白薔薇10と先日の記事にいただいた拍手のお返事です。
お名前がなかった皆様へ:
更新してすぐにコメントをいただいたり、温かい励ましのお言葉をいありがとうございました。
正直、大変な時期を乗り越えられたのは、皆様の応援があったからです!
今回更新分は、ずっと書いてなかったので、読みにくい物だったかもしれませんが、これからも努力していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございました。

B様:
いつも書き込みありがとうございますTT
やっと物が書ける状態になってきました。
でも・・・久しぶりにお話しを書いたら、何だか読みにくいようで・・・うう・・・すみません~。
書き込んでいただいてからお返事まで、こんなに時間がかかって申しわけありませんでした。
11月中旬を過ぎたら、一段落するので、バリッと更新していきたいです。
これからも御時間があるときに覗いていただけたら幸せです。

A様:
暖かい励ましの言葉をありがとうございました~。
なんとか・・・書くことが出来ました。
・・・・が、久しぶりにお話しを書いたら、文がブツブツで変ですよ~~~TT
これからはお絵かきと平行して、お話しのレッスンです!
リハビリ、リハビリです~~~。
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Date:2011/11/03
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